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蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志 院長

「妊活」何から始める?基礎体温の測り方と妊活成功の7つヒント「蔵本ウイメンズクリニック」蔵本先生に聞きました

不妊・妊活の悩みを専門家に聞くインタビュー企画の第7弾。今回は妊活で大切な事・病院にかかる年齢など気になることを「蔵本ウイメンズクリニック」院長の蔵本先生に、お話をおうかがいしました。

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「そのうち」「いつか」先延ばしにしないで、今から始めましょう

妊活を成功させる秘訣は、明るくポジティブに取り組むことだと私は思います。

そして、「そのうち」「いつか」などとズルズル先延ばしにしないで、今から始めること。

晩婚化が進み、この20年の間に女性の結婚年齢は3歳もアップし、2015年の平均初婚年齢は29.4歳となっています。

1950年の23.0歳と比べると6歳もアップし、現代は結婚したら、すぐに30代、あれよというまにアラフォーになんてことに。

当院には、他の医療機関では妊娠できなかった難治性の不妊症の方が多く来院されるので、年齢層が高いです。

もう少し早く来ていただければと、残念に思う事もしばしば。

健康な20代のカップルが排卵日近くに仲良くしても1回あたりの妊娠率は約20%、年齢が高くなるほど確率は妊娠しにくくなります。

不妊の原因は複雑で、いくつもの要素が重なり合っていることが多いのですが、最大のファクターは「女性の年齢」です。

年齢が上がるにつれて卵巣機能が衰え、卵子も老化します

卵子の質が落ちると、妊娠率が低下するだけでなく、流産率も高まります。
妊娠率
芸能人などが、高齢出産したというニュースなどで、だれでも簡単に不妊治療で妊娠できると思っている方もいるようですが、そうではあえりません。

30代半ば以降の方は、できるだけ早くはじめることが大切です。

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排卵日の予測以外にも基礎体温で分かることがある

基礎体温で身体のリズムをつかもう妊活を始めようと考えたことがあれば、一度は「基礎体温」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?

女性の体は妊娠に備えてスタンバイしていますので、体のリズムを知るためには基礎体温表をつけることからはじめましょう。

基礎体温表をつけていけば、排卵日の予測や排卵の有無、ホルモンの状態など、おおよそのことがわかります

女性の体温は月経周期に合わせて「低温期」と「高温期」の変動を繰り返しています。

通常は、月経開始から2週間ほどは低温期で、高温期への移り変わり前に、一度最後にガクンと下がる「最低体温日」があります。

かつては、ガクンとさがる最低体温日に排卵があると考えれらていましたが、高温期に移る約4日間前後に(排卵期)に排卵すると考えられています。

排卵の状態がわかることも

基礎体温表は、低温期と高温期がくっきり二相に分かれているのが理想的です。

二相に分かれていないときは、無排卵周期症(無排卵月経)や、高温期が9日以下と短い場合ときは黄体機能不全が疑われます。

ただし、基礎体温は、起床時間が変わっただけでも変化しますし、キレイな二相を示す人は少なく、二相でなくてもきちんと排卵する人もいれば、きれいな二相でも排卵のないこともあります。

また、低温相と高温相の平均の差は0.3℃以上あれば良いとされています。

一応の目安と考えましょう。

基礎体温表の正しいつけ方

基礎体温計基礎体温表をつけるには、通常の体温測定用ではなく、専用の婦人体温計を使います。

基礎体温とは、朝起きてすぐ、体を動かす前の体温のことですので、朝目覚めたら動かないまま舌の下に入れて口を閉じて測ります。

同じ時間に測るにこしたことはありませんが、神経質になりすぎない、測り忘れてもあきらめないで次の日から測るなどはじめは習慣づけを意識しましょう。

基礎体温表には、測った体温以外に、性行日、生理日、おりものの様子、不正出血、排卵日検査薬の結果なども書き込んでおくと、より体の状態をつかみやすくなります。

排卵検査薬

基礎体温表だけだと、排卵後にわかることが殆どです。

事前に知るためには、頸管粘液(透明のおりもの)の観察をすることである程度排卵日を予測する事もできます。

月経後しばらくは、頸管粘液はあまり出ませんが、排卵日近くなると、卵の白身のような粘り気のあるおりものが出るようになり、これが排卵近くのサインとなります。

排卵日の2日位前に多くなり、排卵日にはこの頸管粘液は減ります。

もっと科学的に知りたい方は、市販の排卵日検査薬を使うといいでしょう。

排卵検査薬は黄体ホルモンの濃度を測り排卵日を予測する方法ですので、信頼性は高い検査ですが、100%確実というわけではありません。

基礎体温表、頸管粘液の観察と併用する方がよいでしょう。

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妊活をはじめるなら気をつけたい7つのこと

禁煙

タバコを吸う方は、ぜひ禁煙して欲しいと思います。

喫煙は卵巣内の卵子の数を減らします

肥満も痩せすぎも排卵に影響がある

肥満や痩せすぎの方は、排卵障害を伴うこともあり、標準体重の方に比べて妊娠しにくい状態といえます。

 

適正体重が理想です。

その際、気をつけたいのが、早く妊娠したいからといって、無謀なダイエットをしないこと。

急激なダイエットによってホルモンの中枢である下垂体の機能が低下して卵胞の発育に必要なホルモンが分泌されなくなり、月経が止まってしまう事もあります。

ダイエットをするときは、食生活の見直した適度な運動、生活習慣の改善など時間をかけてゆっくり体重を落としましょう。

体重のコントロールがうまく行かない場合は、医師や栄養士に相談するのがいいでしょう。

心も体もポカポカに。体を冷やさない

冷え症体が冷えると、卵巣や子宮の働きが低下し、血行が悪くなるとホルモンが必要な場所にスムーズに運べません。

体を冷やさず、あたためる生活を心がけましょう。

  • 適度に運動をする
  • 体をあたためる食材を積極的にとる。
  • 手足や腹部を冷えから守る。
  • ゆっくり、ぬるめのお湯で入浴する
  • 体を締め付ける下着をつけない

バランスの良い食事

妊活は栄養バランスも大事食事面では、肉だけ、野菜だけ、炭水化物だけ・・と偏らず、バランスよく3食とることをおすすめします。

女性は卵巣から老化が始まります。良い卵子を育てるには、抗酸化作用の強い食品をとりましょう

野菜や果物に多く含まれるビタミンC、ナッツや鰻に含まれるビタミンEは、活性酸素を取り除く抗酸化ビタミンの代表格です。

また、亜鉛も積極的にとりたいミネラルです。女性ホルモンのバランスを整える作用もあるので、妊活には必須の栄養素といえるでしょう。

サプリメントと漢方

サプリメントや漢方薬は、医師に相談のうえ、使用してください。

特に漢方薬は薬ですから、副作用が出ることもあります。必ず医師の指導のもとに服用しましょう。

サプリメントは、卵巣の老化を防ぐ抗酸化力が強いものや、血液の循環をよくするものが用いられます。

当院では、以下を補助的に使っていますが、摂り過ぎにも注意が必要です。

  • 葉酸
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • コエンザイムQ10
  • イソフラボン
  • 総合ビタミン剤
  • L-カルニチン
  • メラトニン
  • プラセンタ

漢方薬は、体をあたためて冷えをとるものや、ホルモンのバランスを整えるものとして以下の薬を主に処方しています。これらは、月経不順や月経痛、更年期障害など婦人科系でよく使われています。

  • 当帰芍薬散
  • 加味逍遥散
  • 桂枝茯苓丸
  • 湯経湯
  • 柴陥湯

35歳以上の方は早めに検査と治療を

当院には40代の女性も多く来院されますが、40歳なら1回の体外受精で4人に1人は妊娠します。

ただし、赤ちゃんを抱けるのは10人に1人と1割程度です。

女性の年齢が上がるにつれ、卵巣機能が衰え、卵子も老化しますし、流産率も高まります。

45歳で妊娠し、出産された方もいますが、「妊娠しにくい状態」になるターニングポイントは35歳あたりといわれます。

35歳以上で妊娠を考え、妊活をはじめる場合、可能な限り早く病院に行き、検査を受けたほうが良いと考えます。

また、次のような症状がある場合も、早めの受診をおすすめします。

  • 月経不順
  • 月経痛が強い
  • 骨盤内の炎症(腹膜炎や、クラミジア感染症の既往がある方)
  • 大きな子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 重症の子宮内膜症
  • 卵巣の手術の既往
  • 抗がん剤または放射線治療の既往など。
男性も要チェック
  • 精巣の手術の既往
  • 成人になって発症したおたふくかぜ
  • 性機能障害
  • 抗がん剤治療または、放射線の既往
  • 他のパートナーとの不妊歴

仕事と妊活を両立させるために

今、結婚している女性の半数以上が何らかの仕事をもっておられます。

妊活、不妊治療する場合も仕事との両立が問題になることがあります。

当院に来られる女性もキャリアウーマンが多く、8割の方が仕事をしながら治療をしています。

妊活や不妊治療に取り組む時期と仕事でキャリアが充実する時期は重なることが多いので、つい妊娠の時期を逸してしまった、という人も多いのです。

仕事と妊活、不妊治療の両立には、多方面からの働きかけが必要ですが、最近になって積極的に環境を整える企業も増えてきました。

できる限り、自分一人で抱え込まないで、夫、病院、職場など周囲に協力を得て、前向きになることが大切です。

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不妊治療の現場にいて、思うこと、大切なこと。

日本の平均初産年齢は、30歳を超えました。30歳をすぎると、卵巣内の卵子の数が減少し、徐々に卵子の質の低下も起こります

従って、将来、子どもを持ちたいと思う女性は、妊娠を先送りしないよう、できるだけ早い段階で人生設計をして欲しいと思います。

不妊治療をしてもすぐに妊娠に結びつかないこともあり、強いストレスを持つ方もいます。

でも、少し考え方をかえれば、不妊治療ができるのは今だけで20年後にはできません。

不妊治療で妊娠する可能性があるうちに、やれることはやってみよう!という観点で、パートナーとよく相談することが大切だと思います。

残念ながら全員が妊娠、出産できるわけではありませんが、後で後悔することのないようにしていただければと思います。

また趣味をもったりして、生活を楽しむことも大切です。そのほうが良い結果につながることも多いようです。

お話を聞いたドクターはこの方。

蔵本院長

医療法人 蔵本ウイメンズクリニック
院長 蔵本 武志(くらもと たけし)
山口県柳井市出身。1979年久留米大学医学部卒業。1985年山口大学大学院修了。医学博士。1995年6月蔵本ウイメンズクリニック開院。開院当時より、体外受精、顕微授精をはじめ、一般不妊治療や生殖医療の研究を広く行う。その他、不妊教室や心理面から患者様をサポートするフリートークの会も開催する。その他、国内では各学会への参加、発表、講演などを、また、国外では世界学会への参加、発表、情報交換などを行う。
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医、母体保護法指定医師、日本生殖医学会代議員、日本受精着床学会理事、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長、日本IVF学会常務理事、日本不妊カウンセリング学会監事、日本生殖医療支援システム研究会理事、日本産科婦人科学会福岡地方部会評議員、福岡県産婦人科医会代議員、福岡生殖医学懇話会代表世話人、福岡県産婦人科医会福岡ブロック会理事、ASRM(アメリカ生殖医学会)会員、ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)会員、山口大学大学院医学系研究科非常勤講師、久留米大学医学部臨床教授

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