妊活で必要な栄養を気にする働く女性

妊活をはじめるなら積極的とりたい食べ物は?卵子の老化を防ぐ栄養とは?

妊活・不妊の悩みを専門家に聞く企画の第8弾。
今回は、『卵子の老化に負けない「妊娠体質」に変わる栄養セラピー』という妊活に必要な栄養の本も出版されている「古賀ウイメンズクリニック」院長の古賀先生に当社主催の妊活イベント「第3回こうのとりフォーラム」でご講演いただいた内容を中心に、妊娠しやすいからだづくり、妊活で大切な栄養についてご紹介します。

妊活に必要な栄養を古賀先生に聞いた

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何を食べ、何を食べないかは年齢を問わず妊娠に大きく影響します!!

今まで、産婦人科や不妊治療の世界では「食生活と妊娠は関係ない」という考えが半ば常識になっていました。それは、食生活が妊娠につながるという科学的な裏づけ、根拠がなかったからです。

そもそも、不妊にかかわるドクターは、食事については専門家ではないので、指導しようがないということや、目の前の不妊に悩む女性には時間がありませんので、食生活改善よりも治療が優先されます。

妊娠と食生活をはじめて疫学的に明らかにしたのが、ハーバード大学による女性看護師を対象とした調査結果が書かれている「妊娠しやすい食生活」(日本経済新聞出版社刊)という本でした。

この調査で、適切な食事を摂る事で、不妊の原因でもっとも多い「排卵障害」を改善できるということがはじめて示されました。

卵子の量は栄養と関係していた!

総コレステロール値とAMH排卵障害のみが原因の方の多くは、適切な排卵誘発など治療によって妊娠も可能な場合も多いのですが、日本中の不妊治療の現場や多くの女性が一番頭を悩ませているのは、「年齢にともなう卵子の減少」、「卵の質の低下」です。

一生入れ替わることのない「卵子は栄養でつくりかえられるわけがない。」「栄養で卵子の質が改善したり、体外受精の成績が改善するわけがない」というのが今までの見解でした。

不妊治療の検査では、自分のなかにどれくらい卵子が残っているかを示すAMHの検査をすることがあります。

総コレステロール値とAMHの関係を調べてみると、コレステロールが高い女性ほどAMHが高いことがわかりました。
逆にいえば、コレステロールが低いと早く卵巣機能が低下することがわかりました。

もちろん、食生活を改善したからすぐに妊娠するわけではありませんが、不妊治療を行ったうえで、同時進行で食生活を改善した人は妊娠しやすくなるといえます。
まず優先すべきはコレステロールを上げる食事だったのです。

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妊娠体質に大切な栄養素はコレステロールだった!

コレステロールは、いうまでもなく脂質の一種です。
コレステロールを上げる食事と聞くと、「えっ?!」と違和感を覚える人もいるかもしれません。「脂肪=油はとってはいけないもの」「脂肪は太る」「脂肪は心疾患のリスクを上げる」というこれまでのイメージが強いかもしれません。

そもそも脂肪を避けるきっかけは、1950年代にアメリカのアンセル・キーズ博士が発表した「動物性脂肪のとりすぎが疾患を招く」や1997年のアメリカ上院より食事ガイドライン「マクガバン・レポート」が発端です。

しかし、結果的に「低脂肪+野菜豊富な食生活」は総コレステロール値を下げず、心血管障害、乳がん、大腸がんのリスクを下げないことがわかり、脂肪は悪者ではなかったのです。

最新の健康法でも、体に良い油が注目されています。ただ、脂質が体に良いといっても体にいい油と、悪い油があります。

体にいい油と悪い油の見極め方

妊活と脂肪酸
脂肪の主成分は脂肪酸で、大きく分けて、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。
20種類くらいの脂肪酸があり、人体内で合成できる一価不飽和脂肪酸と、食べ物からつくられる多価不飽和脂肪酸に分かれます。

悪い油の代表が「トランス脂肪酸」。マーガリンやお菓子、パン、ファストフードに使われているショートニング、その他にもアイスクリームやポテトチップスなど加工食品に多く使われています。
アメリカでは、排卵障害、受精、杯の発達に悪影響を与えるという報告もあります。

亜麻仁油、エゴマ油などのオメガ3系には、α-リノレン酸が多く含まれて積極的に摂りたい良い油の代表です。
また、紅花油、コーン油、ゴマ油など調理にもよく使う植物系の油はオメガ6系と呼ばれ、リノール酸が含まれる必須脂肪酸の1つですが、現代人は普段の食生活でオメガ6系の摂取量が多い傾向にあります。

バランスを考えると、オメガ3系を積極的に摂るようにしましょう!

卵子の老化を防ぐ「糖質制限」&「高たんぱく」の食事

妊活には高たんぱく食と糖質制限
妊娠体質になるためには、油以外にも日頃の食習慣として糖質も大きく影響します。
パンやご飯、うどんやラーメンなど麺類の炭水化物や甘いものなどの糖質を制限することでダイエットにつながる糖質制限ダイエットは多くの人が認めるところになりました。

この糖質制限をすることで糖化を防ぎ、結果的に卵子の老化を防ぎます。
私たちの体は、体内でたんぱく質と余分な糖が結合すると、たんぱく質は変性・劣化してAGE(終末糖化物質)になります。

分かりやすく言い換えるとしたら、「タンパク質のコゲ」です。卵子もタンパク質でできていますので、余分な糖分によって、卵子の老化、卵子の質の低下につながります。

実際にAGEのレベルが高い患者さんほど、卵胞の発育や、受精、はい発育が不良で体外受精の成績が低下してしまう、という報告があります。

ただ、過度な糖質制限は、ダイエット目的だけならまだしも、妊活中は注意が必要です。
糖質制限に夢中になりすぎて、摂取カロリーがどんどん減って、低カロリーのままやせていくのはよくありません。

糖質制限で栄養不足になっては本末転倒です。大切なのは、糖質の摂り過ぎに注意しながら、たんぱく質とのいい脂質を摂る事です。
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何を食べたらいいの?8割の女性が「潜在的な栄養不足」

子宮環境改善に栄養を栄養状態が整えば、子宮環境も整い、卵子の老化スピードを遅らせることも可能です。
しかし、美容や健康のためにカロリー制限をしたり、野菜をいっぱい食べて、肉や魚など動物性食品を控えたり・・・。

女性には「やせ傾向」が強く、理想のスタイルを保つため、妊活中や、妊娠後も偏った食生活になる方も多いようです。

妊娠中のママの栄養不足は、そのままおなかの赤ちゃんの栄養不足につながります。
おなかのあかちゃんは、ママが食べたものからでしか、栄養を摂ることができません。

ママになるために必要な栄養素

「しっかり食べてくださいね」というと、ご飯の量を多くしたりカロリーが増え栄養が増えない食事をされることもあります。

大切なのは、「何を選び、どう食べるか」です。
では、どのような栄養素が妊活中に必要なのでしょうか。

たんぱく質

妊活に必要なたんぱく質妊娠体質の土台となる基本の栄養は「たんぱく質」です。
たんぱく質は、皮膚や骨、血管、内臓、卵子など、体をつくる材料としてだけでなく、神経物質のおおもとの材料でもあります。

また、たんぱく質の一種である「アルブミン」は、ビタミンやミネラルなどの栄養素を体のあちこちに届ける役割もあり、他の栄養を働かせるためにも必要です。

たんぱく質は、休むことなく消費されていますので、食事でこまめに摂る必要があります。

コレステロール

コレステロールが妊娠体質になるために大切なのは先にも説明したとおりです。
さらにいえば、コレステロールは女性ホルモンや男性ホルモンの大切な材料となります。

卵巣に働きかけ、排卵を促す性腺刺激ホルモンというホルモンも、コレステロールが不足すると、無排卵の引き金になり不妊につながる事にもなります。

脂質の一種であるコレステロールは、血液中で溶けにくく、たんぱく質でコーディングすることで体内を移動しますので、魚や肉、卵などたんぱく質をしっかり摂る事で、コレステロールも補うことができます。

妊活・妊娠に必要な鉄鉄は粘膜をつくる材料として、子宮の環境を整えます。

鉄は7割が赤血球に含まれ、血清鉄、組織鉄、フェリチンにも含まれています。
健康診断では、赤血球に含まれているヘモグロビンの量などを調べ、フェリチンという貯蔵鉄は調べないので、潜在的な鉄不足、隠れ貧血を見逃しがちになります。

女性は月経によって毎月、鉄が失われます。妊娠前は1日2mgが失われます。妊娠中はおなかの赤ちゃんにも酸素を届けるため、赤血球が増えるため貧血になる妊婦さんが増えます。

しかし、産婦人科で処方される貧血の薬は、たんぱく質と結合していない「非ヘム鉄」のため吸収率が悪く、改善しないことが多いのです。

非ヘム鉄はビタミンCなど吸収を促進する栄養素と一緒にとることが必要です。
一方で、赤身の肉や魚など動物性食品に含まれる「ヘム鉄」は「非ヘム鉄」より吸収性が5~10倍もあります。

さらに、たんぱく質、ビタミンB群、ビタミンCと一緒にとることでさらに効果的に吸収することができます。

ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムや骨の代謝に欠かせないビタミンとして知られていましたが、専門家の間では免疫作用の調整などの役割でも注目されている栄養素です。

妊娠の関係でいえば、388人の閉経前女性を35歳未満、35~39歳、40歳以上に分けそれぞれ血中ビタミンDとAMHを測定して調べた結果、次のような結果がでています。

40歳以上の女性では、血中のビタミンD濃度が高いほどAMH(卵巣予備能)が高い
血中ビタミンDの濃度が高い女性ほど体外受精の妊娠率が上昇している

アメリカの研究チームの報告では、ビタミンD習慣流産のリスクを下げるという研究も。

ビタミンDは、日光を浴びて紫外線によりつくられますが、日焼けを避けたい女性はサプリメントでの摂取が現実的かもしれません。

ビタミンB群

たんぱく質・糖質・脂質などの代謝のときに欠かせないのがこのビタミンB群なのです。ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビチオンなどビタミンB群は妊娠に関わる栄養としても大切な働きをします。
ビタミンB6は脳の神経物質の材料として重要で、ママと赤ちゃんのメンタルを安定させ、つわりを予防する働きもあります。

葉酸

葉酸は妊娠初期に必要な栄養妊活中や妊娠を考える女性は耳にしたことがあると思います。
葉酸は2000年に厚生労働省が、「妊娠可能な全女性」に1日400μgを目安に積極的に摂取することをよびかけるようにと全国の医師会に勧告を出しました。

葉酸には、赤ちゃんの脳の発育を助けたり、神経をつくる働きがあります。
赤ちゃんの脳の神経は、なんと妊娠6週めくらいにほぼ、できあがってきます。
妊娠6週だと、妊娠していることに気付かないかたも多い時期ですので、妊娠前から摂る必要がある栄養素なのです。

また、葉酸をとるときにはビタミンB12と一緒にとることで活性化しますのでセットでとるようにしましょう。

コエンザイムQ10

コエンザイムQ10は、体内のあらゆる細胞内にあるミトコンドリアに存在し、私たちのエネルギーをつくりだす栄養素です。

もうひとつ大きな役割が、抗酸化作用です。卵子のミトコンドリアもエネルギーを産生する時に多くの活性酸素を発生させるために、卵子も年齢とともに酸化しやすくなります。

若い時は、コエンザイムQ10が多く体内に存在しますが、年齢とともに減少するので、抗酸化作用が低下して、卵子の酸化、卵子の老化が加速します。

卵子の老化スピードをできるだけ緩やかにして、体と卵子の老化を防ぐために、30代以降は積極的な摂取が必要です。

鰯や牛肉、ブロッコリーなど食品にも含まれますが、食べ物だけでは十分にとれないのでサプリメントで補給する必要があります。

ビタミンE

別名で「妊娠ビタミン」ともいわれる妊娠に欠かせない栄養素です。
効果として妊娠だけでなく、アンチエイジングと血流アップにも欠かせないビタミンで、頼もしい女性の味方です。
妊活時期には、排卵の促進、卵巣重量の増加、ホルモン調整作用があり、無排卵など月経異常の治療で用いられたりします。

また、妊娠時期には胎盤の血流を促進したり、産後はホルモン調整作用と乳腺の血流促進作用で母乳の出をサポートする効果も期待できます。

コエンザイムQ10と同様、抗酸化作用で卵子の老化にも効果が期待できまます。

ビタミンA・亜鉛・ビタミンC・カルシウムも注目したい

その他にも、妊娠準備時期、妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期、産後の授乳期など、ママと赤ちゃんの体と心に大切な栄養はいくつかあります。
バランスよく食べることですが、ご飯やパンなどの糖化の原因となる炭水化物を控えめにして、肉や魚、卵などをしっかりと食べ、「高たんぱく+低糖質」の食事をすることを意識するといいです。
食事だけで補えないものは、サプリメントで補うといいでしょう。

男性の「妊娠力」に大切な栄養素はコレ!

亜鉛は妊活で男性も女性も大切な栄養妊娠には元気な精子も必要です。不妊原因の半分は男性にあるとされますので、男性も栄養状態を整え、細胞から元気になることで妊娠の可能性は高くなります。

男性にとってもらいたい栄養は、「亜鉛」と「ビタミンD」です。
亜鉛は精子の形成や前立腺の働き、精子の運動にもかかわる大切なミネラルで、欠乏すると、性欲の低下も起こります。

また、最近では男性の精子も酸化で老化するという報告もありますので、抗酸化成分もビタミンDや亜鉛も夫婦で一緒に摂取することを奨める専門家も多いようです。

食生活の改善は吸収性も大切!

栄養学は、この10年でオセロの表裏ようにまったく反対のこともあります。
はじめての話は混乱することも当然です。産業界の都合でできた食品、古い情報に基づいた嗜好食品も巷に溢れています。

また、食生活の改善で大切なことは、何を食べるかということだけでなく、
どれだけ吸収できるかにかかっています。

おなかの腸がしっかり働くには、ストレスを軽減し、副交感神経を優位にすること。
腸内フローラを改善することも妊活・妊娠しやすい体つくりに大切です。

卵子の老化に負けない-妊娠体質に変わる栄養セラピー

古賀文敏先生は、定 真理子さんとの共著で「卵子の老化に負けない妊娠体質に変わる栄養セラピー」という本を出版されています。必要な栄養を知るためのチェック&診断や最新医学と妊娠のための新常識などもっと、詳しく知りたい方は、こちらからも購入できます。

卵子の老化に負けない 「妊娠体質」に変わる栄養セラピー


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