心理カンセラ―が教える【男性不妊】精子を改善する7つのポイント
妊活をしている女性で「卵子の老化」を知らない人は少ないですが、「男性不妊」や「精子」のことを知らない男性は、圧倒的に多い現実があります。
35歳以上の初産が珍しくない今、卵子のアンチエイジングと男性不妊は、妊娠のプロセスとして重大なテーマです。
今回は、心理カウンセラーが教える、男性心理を活用した「男性不妊」を克服するための特集です。不妊クリニックで長年カウンセリングをしてきた心理カウンセラーの藤本さんと男性不妊専門医に取材した内容を編集がまとめました。
目次
男性不妊が改善されれば妊娠の可能性も高まる
いまだに、妊活や不妊治療は「女性がすること」という認識を持っている男性が多いことに驚きます。
実際、WHO(世界保健機構)の不妊症カップル7273組の調査で、
「精子の数が少ない」
「精子の運動率が悪い」など
不妊原因の48%、およそ半分のケースは男性側に原因があることがわかっているというデータが多く出ていてもです。
不妊の原因は複数ある場合も多く、男性女性お互いに原因があることも珍しくありません。
女性だけが妊活や不妊治療を頑張っても、男性に原因があれば妊娠は難しくなります。
実際、男性側の原因の場合、治療や精子の状態が改善されれば妊娠する可能性は高くなるケースが多いのに、男性心理などが原因によっておこる、時間の浪費、その間に進む卵子の老化が妊娠の可能性に影響を与えてしまします。
だからこそ、男性不妊のこと、男性の心理をすることが大切ではないでしょうか。
男性不妊はどういう症状
陰嚢部にコブができてしまう精索静脈瘤や、膣内射精障害、Edなども原因ですが、男性不妊の約90%は、造精機能障害という、精子をうまくつくれないこと症状のことで、大まかには次の3つに分類されます。
- 精液中に精子が一匹もいない「無精子症」
- 精子はいるけれど数が少ない「乏精子症」
- 精子の運動率が悪い「精子無力症」
生活習慣が原因の場合も
その原因としては、先天性のものも一部ありますが、実際には、加齢に伴うもの、ストレスや過度のアルコール、喫煙、肥満・病気や薬の影響など様々なものが考えられます。
ですので、生活習慣を見直すことやビタミン剤や漢方剤などの治療で改善されることがあります。
また、現在は、検査で無精子症と診断されても、検査で1つでも精子がいれば、高度な医療技術のもと妊娠する可能性もあります。
男性不妊の検査
意外と知られていない男性不妊の検査についても紹介したいと思います。
男性不妊の精密検査は、不妊クリニックや泌尿器科、婦人科で行う所もあります。
検査の種類としては、生殖器の視診や触診、精液検査(精液量、精子濃度、運動率を測定)、陰のう超音波検査や血液検査(ホルモンの異常や糖尿病などの基礎疾患の有無をチェック)などですが、女性の検査と比べると、身体に負担のかかるものはほとんどありません。
殆どの場合、精液検査だけで終わるイメージです。
なぜ、男性は検査を受けたがらないの?
原因の半分が男性にあるのに、男性は精液検査すら受けたがらないことも多いという事も大きな課題といえます。
そこには、おおまかに3つの理由があるのではないでしょうか?
「自分の生殖能力に原因があると認めるが怖い」
さらに「生殖能力に問題がある」ことをパートナーである奥様に知られたくないというものがあります。
これは、自分は女性を守る強い存在であり、弱い部分を見せたくないという動物的な雄の本能的なものなのでしょう。
もう1つに婦人科での受診に抵抗があることもあげられます。
婦人科や不妊クリニックでの検査に抵抗があるなんて、妊活、不妊治療で精神的、肉体的にきつい検査や治療をしている女性からすると理解し難い「言い訳」にすぎません。
ですので、男性の検査は、不妊治療の専門クリニックや婦人科でなく、一般の泌尿器科などでも精液検査を受けられるところも増えていますので、そういったクリニックも選択肢に加えてみましょう。
最近は、スマホで精子セルフチェックもできる
「病院で検査!」となると、なかなか一歩を踏み出せない男性も多いようです。
そんな方には、スマホでチェックできる簡易精液検査キットも人気になっています。
「MEN S LOUPE」や「Seem」が代表的なものですが、スマホと専用キットを使って精液を観察すると精子の状態が確認できます。
しかも、専用キットはネット通販で購入できるという手軽さです。
あくまでも簡易検査ですので、治療が必要かどうかの判断は専門医での診察が必須となりますが、自身の精子の状態を簡単にチェックできる事は大きなメリットと言えます。
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不妊とセックスレス
世界的にみても日本人は少ない
不妊の原因は、男性にも女性にもありますが、その前にそもそもセックスレスだったりというケースも多々あります。
実際に不妊治療をしている特に体外受精の処置を受けているカップルの中には、セックスの回数が少ない人傾向にあります。
世界的な避妊用具メーカー調べでは、年間セックスの平均回数は日本人は、平均年間48回で、世界最高のギリシャの164回の1/3以下というデータもあるほど、日本人はセックスの回数が少ないのです。
セックスの頻度が多い方が妊娠率は高くなるとはいえ、結婚して月日が経過すればするほど頻度が少なくなることも現実的な問題の1つです。
運動不足の男性は要注意!
特に、高学歴でデスクワークの男女に特に目立って起こっているという調査結果もあります。
体を動かして、血液の流れをよくしておかないと、性欲が減少するという説もあります。
運動などで体を動かさないで、頭ばっかり使っていると、ストレスも溜まり、血液が頭に集中してしまい、性欲が減少してしまいセックスレスになるということのようです。
お釈迦様が自分の煩悩を消滅させようと、菩提樹のもとで座禅を組んでいたら、煩悩もろとも性欲も消滅してしまったという仏教の話にも通じるかもしれません。
セックスレスを防ぐためには、スポーツをするなど、頭部に集中した血液を分散することも大切な事のようです。
気持ちを盛り上げるなど工夫も
また、精神的なものが性欲に影響を与えているという部分も大きいので、夫婦間での「男」と「女」としてお互いが魅力を感じていた時期、セックスを頻繁にしていた時期の気持ちを思い出して、相手に甘える、相手の喜ぶ事をする、相手を褒めるなどを実践したり、逆に相手に適度に嫉妬させるような言動で性欲を盛り上げるといった方法で、セックスレス解消に取り組むケースもあるようです。
セックスレス解消は夫婦間のお互いの気持ちが重要ですが、男性側の年齢による衰えなどのケースもあるので、解決方法は様々ですが、とても大切な事の一つですので、治療や検査とあわせて見逃せないテーマです。
精子の状態をよくするために気をつけること
精液検査を受けた結果、乏精子症や無精子症と診断されても、少ない精子や精巣の中から精子を取り出し、体外受精や顕微授精など高度な生殖医療で妊娠も可能な時代です。
しかし、費用や精神的、肉体的負担を減らすためには、出来るだけ普段から出来る方法で、精子の運動率が低くならないようにしたいと思うのではないでしょうか。
一般的に男性は、30歳あたりから男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が徐々に低下していきます。
男性の場合は女性と違い、テストステロンの分泌量の減少が緩やかで、多くの場合45歳から50歳あたりを境にして生殖能力は低下していきます。
一方で、60歳を過ぎても生殖機能が元気な男性もいたりして、精子の運動率が衰える原因として、最近では生活習慣も大きく関係しているとされます。
では、普段からどんなことに気をつければ良いのか見ていきましょう。
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禁煙・煙草を吸わない
忙しく働いている男性の中には、ちょっと一服とか、お酒の席で吸われる方も多いです。
しかし、煙草は男性、女性共に妊活の最大の敵と言っても過言ではありません。
精子は酸化に弱い性質ですので、煙草を吸う事で、精子の運動率低下をまねく、奇形の精子を生むなどといわれています。
喫煙者の精子で妊娠すると、流産や先天性疾患をおこすリスクが上がるという研究報告もあります。
一方では、1日に60本を超えるヘビースモーカーなのに、赤ちゃんを授かっているご夫婦も沢山いらっしゃいます。
全ての方が、煙草が原因とは限りませんが、世界中で煙草が精子にも良くないという研究報告があることからも、喫煙が精子の数や運動率に悪影響があることは考えられます。
さらには、ED患者の80%以上が喫煙者だという驚きの研究結果もあるほど、百害あって一利なしですので、健康のためにも妊活のためにも禁煙しましょう。
サウナや締め付けブリーフもチェック
精子は活性酸素だけでなく、暑さにも弱い性質でもあります。
睾丸を温めすぎないために、高温でのお風呂、サウナで長時間睾丸を温めないようにすることも大切です。
下着も締めつけの強いブリーフよりは、通気性の良いトランクスを履いた方が精巣への締めつけが緩くなります。
運動
運動して体を動かすとテストステロンが分泌されますが、運動不足の方はテストステロンの分泌量が減少してしまいます。
専門家も運動不足は肥満の原因や、男性の造精機能の減少や精子数の減少、勃起不全や性欲低下の要因の一つであるという意見が多いようです。
運動不足を解消することは肥満を予防し男性不妊を防ぐ一つの要因です。
激しい筋肉トレでも、ウォーキングなどの有酸素運動などの軽めの運動でも分泌される事が確認されています。
出勤の際に今より多く歩いてみる、ゴルフやボーリング、スポーツジムでの筋トレといった手ごろに出来る運動不足解消は沢山あります。
思い立って急に激しい運動をすると続かないケースもあるので、運動をいかに継続して習慣化できるかが大切なポイントです。
精子に良い影響を与える食事
普段の食生活で活性酸素が増加すると、精子の運動率が低下し精子のDNAはダメージを受けてしまいます。
普段から抗酸化作用の高い旬の野菜や果物、魚介類を摂取することを心がけましょう。
妊活の基本である健康な維持するにも、精力増強や体質改善のためにも毎日の食事で摂る栄養とバランスは基本中の基本です。
ここでは、精子を元気にしてくれる家庭でも良く使われる食材を中心にご紹介します。
成分 | 食材 | 効能 |
亜鉛 | 牡蠣、納豆、豚レバー、うなぎ、赤身の肉、卵 | 亜鉛は、精子が生産される過程において必要不可欠な栄養素です。亜鉛が不足すると、精子の数が減少、運動率が悪くなる・奇形率が増えるなど、男性不妊の原因となります |
鉄 | 豚や鶏のレバー、カツオ、マグロ、あさり、ひじき | 精子の形成を助ける働きがあるとされます |
ビタミンE | アーモンド、ひまわり油、うなぎ、アボガド、ピーマン | 抗酸化作用や血流促進作用で精巣の機能を高め、精子の数を増加させます。 |
セレン | かつお節、いわし、帆立、アジ、イワシ、サンマ | 男性の精子を作る時、500億分の1mg程度のセレンを必要とします。セレンが不足すると精子の数が減少や運動率が低下します。 |
炭水化物の重ね食べ、ランチや〆は特に要注意
妊活を始めた奥様が旦那さんの精子のために、精子に良いとされる食材を使った料理を作るなどしても、仕事で家にいない「ランチ」や「飲み会」が曲者です。
外で仕事をしている男性の場合、手軽にお得に食べられる
- カツ丼とうどんのセット
- ラーメンとチャーハンのセット
- カツカレー
など「炭水化物」や脂質を”重ね食べ”で多く摂取するケースも多いです。
また、同僚や上司、部下、あるいは取引先と食事をすることが多く、
脂っこい食事や精子に悪影響を及ぼす酸化物質を多く含む食事をする機会も多いのが現状です。
バランス良く栄養を摂取するためには、魚を中心とした定食などがオススメです。
精子の改善を助ける成分
最近の男性不妊の研究や治療を行う日本や海外の専門家の発表によると、
- 亜鉛
- コエンザイムQ10
- L-カルニチン
- セレン
を摂取した男性不妊患者の精子の運動率が改善したという論文が多数あるようです。
これらの成分を配合したサプリには、男性不妊専門クリニックで販売されているものも多く登場しています。
精子は3か月かけて作られることから、これらのサプリを3ヶ月以上続けてみるのもよさそうです。
成分を見る限り抗酸化に注目していることがわかります。
禁欲しない・させない
精子は毎日作られています。射精しないでいると、日常生活で酸化されて劣化した古い精子が溜まっていき、精子の質を下げてしまいます。
射精せずに禁欲を続けると、酸化した精子のDNAの損傷率が高くなるので、禁欲は1〜2日空ければ十分なので、排卵期に限らず頻回にセックスする事や、セックスをしなくても射精はした方がいいといいます。
少なくとも、元気な精子を卵子に届けるために、排卵期のセックスだけでなく、その数日前には射精した方が良いでしょう。
男性心理を知る事でうまく行くこともあります
本来、男性が今以上に、妊娠や不妊治療のことを知り、さっさと検査をうけて、問題があれば対策するのが望ましいのですが、現実問題としては、女性に様々な検査を受けたり、不妊クリニックに通院してから、男性が、やっとのことで検査受けたり、しぶしぶ漢方やサプリもはじめり・・・。
しかし、体質改善のためにサプリや漢方を始めても続かないことも多いのが現実。
そこには、どんな男性心理があると思いますか?
女性と男性の妊活へのスタンスの違い
まず、知ってほしいのが、女と男は、身体以上に、「心」と「脳」が違うという事です。
それは、子どもの頃から、好きな漫画、遊びが違うということからもわかります。
大人になっても、買い物の仕方、会話のスタンス、全てが男女差があります。妊活や不妊治療でも男女の考え方の差は顕著です。
この違いを闇雲になんとかしようとすればストレスになり、逆効果になりかねません。
ただ、女性と男性は、根本的に、脳も心理も構造が違うことを知れば、ストレスから解放され、スムーズにコミュニケーションがとれることも多くあります。
詳しく知りたい場合は、人工知能研究者で「妻のトリセツ」といった著書もある黒川伊保子さんの本もオススメです。
男性を積極的に妊活させるには
一般的に男性は、何事においても、強制されたり、無理強いすると必要以上に拒否しがちになることもあります。
しかし、自分で考え、それが必要と自分で理解し判断すると納得して動き出します。
妊活において精液検査を受ける事や、サプリや漢方など体質改善をすることに、納得しないままだと上手くいないで、逆に女性側のストレスが溜まる原因になってしまいます。
ポイントの1つとしては、男性には情報を与え、判断はあなた(男性)に任せますよ!というスタンスです。
もちろん、まるっきり男性任せにしてたら、いつまでもやらないという事にもなりかねません。
驚くほどに、男性は、自分の精子のことはおろか、妊娠の仕組みや、女性のカラダ、生理のことなど、殆ど知らないのです。
- 「避妊しないでいたらそのうちにできる。」
- 「病院で治療したら妊娠できる」
と思っている方も意外と多いのです。
ですので、男性に、妊娠の仕組みや、女性のカラダ、生理のことなど情報を与え、どうすれば良いのか考える材料を与えることが最初の一歩です。
もう一つは、ストレートに「私のために、精液検査を受けて欲しい」「禁煙してほしい」とお願いするパターンです。
この時のポイントは「男性は自分が頼りにされたい」という心理を活かすことです。
男性は「甘えられたり」「泣かれる」と、問題解決志向の脳や心理が働くことから、「なんとかしなければ」となることがあります。
最近は、テレビや雑誌などでも「卵子の老化」「精子の老化」が取り上げられることもあり、年齢的に時間がない場合は、ストレートに伝えることで「分かった」という男性も増えているようです。
妊娠は共同作業、妊活は二人でするもの、といった普通の言葉だけでは、男性不妊を解決したり男性を積極的に妊活に意識を向けさせるのは難しいのです。
自分のためと思って、男性心理や脳の違いを知って、上手く活用することがゴールへの手段の1つです。
でも、辛い気持ちは1人で我慢しないでください。ストレスは妊活の大敵です。一緒になって乗り越えましょう。
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妊活はアンチエイジングと男性不妊が課題の時代
不妊治療については日々、研究が進んでいて、10年前だと難しい症状だった場合も妊娠する可能性が増えています。
一方で、35歳以上の初産が珍しくない今、年齢ならではの課題として「卵子のアンチエイジング」と「男性不妊」が大きなテーマとなっています
今回、不妊クリニックで10年以上、心理カウンセラーとして経験から「男性不妊」と「男性不妊」について簡単に紹介しましたが、次回は「卵子のアンチエイジング」と「女性心理」も紹介していきます。
医師による男性不妊対談
男性不妊専門医である横山先生と、不妊専門クリニックの井上先生のドクター対談が、2019年4月21日に福岡市の天神エルガーラホールで開催される「こうのとりフォーラム」であります。
詳細は、下記、こうのとりフォーラムをご覧ください。
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