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女性ドクターが教える妊娠・不妊・出産・育児「現代女性を取り巻く環境」IVF詠田クリニック詠田先生に聞きました

妊娠・出産・育児の悩みを専門家に聞くインタビュー企画の第3弾。

1985年より体外受精の研究を始め、1999年、医療法人IVF詠田クリニックを開業。
女性ドクターとして不妊で悩む女性に向き合ってきた詠田先生に、妊娠・出産の現状や正しい知識を身につけることの大切さ、いきいき働く女性のために大切なことについてお話をお伺いしました。

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育児と仕事の両立が難しい働く女性の職場環境

母親には、必ず子どもを優先する時期があります。

子どもが病気にかかれば、会社を休まざるをえないときもあります。

そのような現実と、本人の仕事への評価は全く別にしなければいけません。

「子どもを理由に欠勤する人は仕事ができない」なんておかしいですよね。

 子どもに手が掛かる期間は10年足らず

。企業側は産休、育休、時短勤務などが使える環境を整え、優秀な人材を失わないための努力をすべきだと思います。

女性の力を生かせない企業は淘汰されていく

トップの決断次第で、母親の働く環境は変わると思っています。

 人口減少、少子高齢化が進む日本では、将来必ず労働力が不足します。

女性の力を生かせない企業は、これから淘汰されていくでしょう。

私の病院では、16年前の設立当初から、時短勤務や産休・育休の制度を取り入れています。

それに加え、職員全員が気持ちよく働けるよう、給与面を考慮しました。

どんなに仕事ができる人でも時短の間は基本給を下げ、フルタイムで働けるようになったら、元の水準に戻すという仕組みにしたのです。

その人自身も制度に甘えるのではなく、限られた時間内で最大限能力を発揮しなければいけませんし、そのことは本人が一番分かっているでしょう。

誰かが休んだ時に空いた穴は、医師、看護師など関係なく、全員でカバーするようにもしています。

晩産化、晩婚化による願わない不妊

仕事に専念するあまり、婚期や出産適齢期を逃してしまう人が増えていますが、女性の生殖年齢には限界があります。

特に、女性医師が直面しているワーク・ライフ・バランスの問題は深刻です。

せっかく医師免許を取得したのに、出産と同時に辞めてしまう人も多い。

医学部の女子学生は増えていますから、医師不足になるのも無理はありません。

彼女たちの労働環境の改善が進めば、一般企業のモデルケースにもなるだろうと思います。

私はときどき、娘の子どもを保育園に送り迎えしています。

娘は産婦人科医で、育児には私や主人のサポートが必要になっています。

夕食を作る日もあり、しっかりおばあちゃんしています(笑)。

今の若い人たちは本当に大変だと、身をもって感じる毎日です。

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妊娠・出産の現状。正しい知識を!

妊娠しやすい年齢
女性の妊娠や出産は、社会の状況に大きな影響を受けてきたと感じています。

昔の女性は中学や高校を卒業したら家事手伝いをして、20代前半で結婚するのが一般的でした。

しかし、1970年代後半には女性の大学進学率が30%を超え、85年には男女雇用機会均等法が制定されました。

90年代から女性が社会で活躍し始めるようになると、結婚する年齢や第一子出産年齢がどんどん上がってきました。

私のクリニックに来られる患者さんは、開院したころは20代後半で結婚2~3年の方が大半でした。

その後だんだんと年齢が上がり、今は30代から40代の方が多くなりました。

中には、40代になっても簡単に妊娠できると誤解している方もいらっしゃいます。

卵子の老化について知っていますか?

妊娠や不妊に関する知識は、学校教育ではしっかり教えてもらえません。

ですから、正しい知識がないまま年を重ね、いざ妊娠を望んでも厳しい年齢になっているというケースもたくさんみてきました。

女性の卵子はどうやってできるかご存知ですか?

女性の体内には胎児のときに600万個の卵子があり、実はその後には新しく作られません。

12歳ごろの初潮から排卵が始まって、50歳ころに閉経を迎えると妊娠できません。

一番妊娠しやすいのは20代前半から半ばまで。

長年体内にいた卵子は老化していくため、32歳から妊娠率が落ち、自然妊娠が可能なのは43歳くらいまでが目安です。

37歳からは染色体異常による流産率も上がります。

妊娠・出産のコレマデと、コレカラ。

体外受精とIVFイメージ画像
女性の体自体は、ずっと昔からさほど変わっていません。

1000年ごろに記された「源氏物語」や大奥のあった江戸時代は、30歳を超えた女性が殿の子どもを生むことはご法度とされていました。

昔の出産は命がけで、殿のお気に入りの女性が妊娠や出産の過程で亡くなると大変なことであり、障がい児が生まれる可能性も高まるというのがその理由だったようです。

しかし、医療が発達したおかげで、今では出産により命を落とすことはほとんどなくなりました。

さらに体外受精治療が広まり、日本において2013年に体外受精で誕生した子どもは4万2554人と過去最多になりました。

その年に生まれた子どもの約24人に1人が体外受精で生まれた計算になります。

とはいえ、体外受精の治療件数は36万8764件で、誕生に至ったのはその1割強にすぎません。

学校・家庭やマスコミなどを通じて、若いうちから妊娠・不妊について正しい知識を身につけてほしいと思います。

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お話を聞いたのはこの方

詠田院長

医療法人IVF詠田クリニック
院長 詠田由美 先生
1980年福岡大学医学部卒。福岡大学医学部産婦人科白川光一教授、九州厚生年金病院飯野宏部長のもとで産婦人科学習得、熊本有宏講師のもとで生殖内分泌学を学ぶ。フロリダ大学産婦人科にて内視鏡手術を学ぶ。1989年より福岡大学医学部で体外受精研究を始め、1995年より福岡大学病院不妊治療グループチーフ(福岡大学医学部講師)となり、日本産婦人科内視鏡学会シンポジスト、エンドメトリオーシス研究会シンポジスト、日本受精着床学会シンポジスト、アメリカ生殖医学会発表ならびに座長などを経て、1999年4月 IVF詠田クリニックを天神に開業。2004年10月現在の天神1丁目12-1日之出福岡ビルに移転。2005年4月~福岡大学医学部臨床教授、2009年4月~熊本大学医学部非常勤講師。

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