子宮卵管造影検査

不妊治療専門医が教える「不妊かな?」と思ったら、最初に受けたい3つの不妊検査とは

働く女性のなかには「不妊なのかな?」「不妊の検査、受けてみようかな」と考えているものの、どうしたらよく分からないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
編集部にも不妊の検査について、具体的な内容や費用について知りたいという声は数多く寄せられています。
もはや一般的な悩みになったともいえる「不妊」は、決して特別なことではなく、ライフプランの中の1つの選択肢として「不妊の検査」もパートナーと一緒に話あってほしいテーマです。
今回は、そんな疑問にお答えすべく、「蔵本ウイメンズクリニック」院長の蔵本先生に、「不妊検査」についてお話をおうかがいしました。

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不妊治療の第一歩は検査を受けること

日本の平均初産年齢は、30歳を超えています。

30歳を過ぎると卵巣内の卵子の数が減少し、徐々に卵子の質の低下も起こり年齢が高くなるほど妊娠が難しくなります。

検査をせず問題に気づかないため、ただ様子をみているうちに時間が過ぎてしまうのは残念なことです。

検査によって原因がわかれば、早期に対応することができます。

いたずらに時間やお金を無駄にしないためにできるだけ早い段階で人生設計の1つとして可能な限りカップルで一緒に医療機関で検査を受診してほしいと思います。

不妊治療は目覚ましい進歩を遂げていますので検査で原因が分かれば応じた治療を選ぶこともできる時代になりました。

不妊治療は、「一般不妊治療」と「高度生殖医療」に分けられます。
不妊治療の種類

「一般不妊治療」には

  1. タイミング法
  2. 人工授精

「高度生殖医療」には

  1. 体外受精
  2. 顕微授精など

これらの病院やクリニックでの不妊治療は、検査で結果をみてからとなります。

カップルで一緒に医療機関で検査を受診した方がいい理由

不妊検査は男性も一緒に

また、かつては不妊の原因は女性にあるとおもわれがちでしたが、半分は、男性側にも原因があることがわかってきています。

女性だけがんばっても難しいケースも多いのです。

ですので検査は、女性だけでなく男性も一緒に医療機関で検査を受診してほしいと思います。

最初にした方が良い3つの不妊検査

不妊の検査-テスト画像2
不妊の検査には、

  • 基礎体温
  • ホルモン検査
  • 子宮卵管造影
  • 超音波検査
  • 精液検査
  • 頸管粘液検査&ヒューナーテスト
  • クラミジア検査
  • AMH検査
  • 抗精子抗体検査
  • インスリン抵抗性検査
  • 子宮鏡検査
  • 腹腔鏡検査

などがあります。

これらの検査を全てしなくてはいけないわけではありません。医療機関によって出来る検査、重要視している検査が異なります。

不妊専門クリニックでは、最初にする検査として、妊娠向けて必要な排卵の有無、卵管が詰まっていないか、正常に動く精子が一定数あるかなど下記の3つの項目を検査することになります。

  1. 経膣超音波検査で卵胞の発育をチェック
  2. 子宮卵管造影検査で卵管の通りをチェック
  3. 精液検査

ただ一方で、基本の検査では、見つけることができないピックアップ障害、受精障害などもありますので、検査で問題がないと診断された場合も、見つからないだけなのだと捉えて欲しいと思います。

この他の検査などは、かかりつけの医師に相談しながら検査項目を決めると良いと思います。

経膣超音波検査で卵胞の発育をチェック

不妊検査-テスト画像
不妊治療では、経膣超音波検査は基本の検査と言えます。

超音波を発信するプローベを腟内に挿入することで、子宮内膜や卵胞の発育状態や数を調べたり、排卵日の予測、その他に卵管に水が溜まる卵管水腫も発見することも可能です。

子宮内膜の厚さや画像パターンを観察したりします。

また、経膣超音波検査では、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮がん、子宮内膜ポリープなどの子宮疾患、卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群などの卵巣疾患を発見する事もあります。

子宮卵管造影検査で卵管の通りをチェック

子宮卵管造影検査精子と卵子が出会う場所である卵管の通りを調べる検査です。

造影剤を子宮内から卵管へ流し込んで、子宮内部の形の異常の有無、両側の卵管が詰まっていないかといった事を調べます。

そして、子宮卵管造影にはもう1つ治療的な側面を持つというメリットもあります。

軽度の卵管の詰まりがあった場合などであれば検査で卵管の通りや働きがよくなり妊娠しやすくなることもあります。

卵管が狭かったり、詰まっている方場合には、痛みを強く感じることがあります。造影剤をゆっくり注入することで痛みの軽減をはかったり、痛み止めの薬を使う場合もありますので医師に相談しましょう。

精液検査

かつては不妊の原因は女性にあると思われがちでしたが、約半数は男性側にあると分かってきました。

女性の卵子は生後新たに作られないのに男性の精子は年齢に関係なく体内でつくられます。

しかし近年、男性の精子が減少傾向にあります。

精液検査は、2~5日間程度の禁欲期間の後にマスターベーションで精液を採取します。

最近では多くの不妊クリニックや泌尿器科に、採精室がありますが、自宅で専用の容器に採取し、病院へ持っていく場合もあります。

精液検査の結果は体調によって変動があるので一度の検査結果が悪くても、再度検査を行なうと異常なしというケースもあります。

妊娠には、精子と卵子の力が必要となります。女性だけでなく、男性の精液検査も行なうことで、原因の特定がより正確になり、不妊治療も的確に行なうことができます。

男性も早めに検査を行うことが大切です。

精液検査では、精子の数、精子濃度、運動率、運動の質、精子の形態などを調べます。

精液 1.5ml以上
pH 7.2以上
精子濃度 1ml中に1,500万以上
総精子数 1ml中に3,900万以上※3,900万未満の場合は乏精子症
精子運動率 40%以上※40%未満の場合は精子無力症
正常形態精子率 4%以上※4%未満の場合は奇形精子症

上記はWHOが1999年に発表した「妊娠のために必要な精子や精液」が基準値を満たしているかの判断基準ですが、クリアしているからといって確実に妊娠するという正確なデータではありません。

また、基準値を以下の場合でも、男性の精子と精液は毎日精巣内で作られ、ストレスや食事、運動不足など生活習慣の影響で結果が変わりやすいので、一度の結果で判断しないで、日数をおいて複数回検査を行い、その結果を総合的に判断することになります。
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検査の費用

不妊原因を探るために受診する検査には健康保険が適用されるものもあります。

保険適応のものは保険を使い検査を行います。

検査によっては1ヶ月の中で保険が使える範囲が限られているものがあります。

その場合には自費診療となります。

不妊専門クリニックでの検査目安は自己負担額は、およそ3~4万円程度になるとお考えください。

不妊の検査は何科で受診できるの?

検査を受診する時に何科で受診すれば良いのか?と悩むこともあるようです。

実際、上記の検査を実施しているところとして、婦人科・レディースクリニック、泌尿器科などたくさんあります。

各医療機関によって、検査機器や専門知識をもったスタッフなどが違いますので一概には言えませんが、不妊治療専門施設だとスムーズに妊娠に必要な検査・治療をしてもらえたり、働いているスタッフも、医師はもちろん、生殖医療専門の知識や情報を持ったスタッフが多く、安心して通うことができると思います。

また、男性の場合、婦人科に抵抗がある場合もあるようですが、泌尿器科でも精液検査可能なところも沢山ありますし、不妊治療専門施設や男性不妊専門クリニックでも受診可能です。

まとめ

  • 不妊の検査はカップル一緒に受診した方が良い。
  • 時間やお金を無駄にしないためにできるだけ早い段階で

今回、お話をお伺いしてあらためて学んだことは「わからないことは先生にしっかり聞く」ことだと感じました。

それでも、どうしても病院には行きにくい、人に話しにくいと躊躇してしまう方もいると思います。

そんな方は、各都道府県に1つは不妊専門相談センターもあります。

専門家による電話相談や面接、メールでの相談ができます。

そして、どんなに医療が進んでも根本にあるのは夫婦の在り方、人の心。

まずは夫婦でしっかり話し合い、信念と覚悟とお互いの思いやりを持って取り組むことが大切ではないかと思いました。

お話を聞いたドクターはこの方。

蔵本院長

医療法人 蔵本ウイメンズクリニック
院長 蔵本 武志(くらもと たけし)
山口県柳井市出身。1979年久留米大学医学部卒業。1985年山口大学大学院修了。医学博士。1995年6月蔵本ウイメンズクリニック開院。開院当時より、体外受精、顕微授精をはじめ、一般不妊治療や生殖医療の研究を広く行う。その他、不妊教室や心理面から患者様をサポートするフリートークの会も開催する。その他、国内では各学会への参加、発表、講演などを、また、国外では世界学会への参加、発表、情報交換などを行う。
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医、母体保護法指定医師、日本生殖医学会代議員、日本受精着床学会理事、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長、日本IVF学会常務理事、日本不妊カウンセリング学会監事、日本生殖医療支援システム研究会理事、日本産科婦人科学会福岡地方部会評議員、福岡県産婦人科医会代議員、福岡生殖医学懇話会代表世話人、福岡県産婦人科医会福岡ブロック会理事、ASRM(アメリカ生殖医学会)会員、ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)会員、山口大学大学院医学系研究科非常勤講師、久留米大学医学部臨床教授

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