35歳からの妊娠・出産 |高齢出産のリスクとメリットを体験した方に聞きました
女性の社会進出や晩婚化が進むにつれ、近年は35歳以上で妊娠、出産する人も当たり前の時代になりました。実は、出産した女性の28%、3人に1人が35歳以上で出産しています(厚生労働省「2015年人口動態統計」)。一般的に高齢出産は「リスクが高い」と不安面ばかりが強調されがちですが、もちろんメリットもあります。どんな妊娠・出産にもトラブルはつきもの。35歳からのマタニティの基礎知識をまとめました。
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目次
高齢出産って?
かつては、高齢出産といえば30歳以上での出産を指していました。
最近は、晩産化が進んだことやWHO(世界保健機関)が35歳以上での出産と定義していることから、
現在では35歳以上で出産することを高齢出産といいます。
日本産科婦人科学会では35歳以上で始めて出産する初産婦を高齢出産としているようです。
厚生労働省の統計では、2005年時点で35~39歳の出産者数は約15万3千人。
2015年には約22万8千人に増加し、40~44歳は約2万人から約5万3千人に、45~49歳も約600人から約1300人に増えています。
高齢出産の3つのリスク
妊娠率の低下
女性が妊娠する能力を備えるのは、排卵が始まる12歳前後から閉経を迎える50歳前後まで。
ただ、妊娠のしやすさは20代前半がピークで、30代半ばからは低下していきます。
年齢を重ねるにつれて精子と卵子の質が下がるため、うまく受精や着床しないケースが増えてくるからです。
流産の確率も、30代前半までは約15%ですが、35~39歳で20%に、40歳以上になると40%以上となります。
染色体異常リスクが高まる
精子と卵子が受精する段階で、染色体異常が起こる確率は年齢とともに高くなっていきます。
染色体異常の中で最も多いダウン症候群(21トリソミー)は、20歳では1500人に1人の割合で生まれますが、30歳では1000人に1人、35歳では300人に1人になります。
母体への負担が大きい
血管が老化傾向にある35歳以上の女性は「妊娠高血圧症候群」にかかりやすくなります。
高血圧や尿にたんぱくが出る、全身のむくみなどが主な症状で、重症化するとけいれん発作や脳出血、肝臓や腎臓の機能低下などを引き起こします。
胎盤の機能が落ちてしまって赤ちゃんの発育が悪くなり、場合によっては赤ちゃんが亡くなってしまうこともあります。
また、妊娠糖尿病や甲状腺疾患、早産などのリスクも高まります。
産道や周囲の血管が固くなってしまうことや、微弱陣痛が起きやすいことから、難産になりやすい傾向もあります。
高齢出産のメリットって?
高齢出産の場合はしっかり知識を身に付けておくことが大切になります。
個人差がありますが、しっかりとした準備をしておくことで、高齢出産のリスクを下げて母子ともに安心して出産にのぞむことができます。
また、リスクだけではなく、メリットもあります。
精神的・経済的に余裕がある
豊富な人生経験を積み、20代の頃より精神的な余裕があるため、ゆったりとした気持ちで出産・育児ができると答える人が多いようです。
子育てには、思った以上にお金がかかるため、経済的に余裕が持てるのもメリットです。
ベビーシッターや託児施設を活用するなど、体力面での不足を経済力で補うこともできます。
周囲に育児経験者が多い
年齢を重ねている分、交友関係が広くなり、出産・育児を経験した友人もたくさんいます。
友人達から体験談を聞けたり、困ったときは相談に乗ってもらえたりと育児のサポートが得やすいのは利点です。
子どもの服やおもちゃ、育児グッズなどをお下がりでいただく機会も多いですね。
35歳からのマタニティ座談会
私自身も40歳で妊娠、41歳で初産を経験し、「産後の肥立ちの悪さ」に悩んだ一人です。
ラ・シゴーニュ編集部にも、30代半ばからの妊娠・出産・子育て、特に初産の場合は孤独になりやすいものです。
情報を集めたい、よいものをとりいれたい、実際に感じる身体の不調をしたいといった声を多くいただきます。
今回は、35歳以上で妊娠、出産した4名の方に座談会で実際の体験を語ってもらいました。
産後の抜け毛が酷かったAさんの体験談
不妊治療をして、35歳の時に第1子を出産しました。
30歳をすぎてから約3年間、「妊活」をしましたが、仕事をしながらの通院は本当に大変でした。
周囲の友人たちからの妊娠報告が嬉しい反面、なぜ、私は妊娠しないのかと悲しい気持ちになりましたし、治療は本当につらかったです。
出産は普通分娩でしたが、産後はかなりきつかった。体力が落ちたし、腱鞘炎や腰痛も酷くて、特に産後の抜け毛がひどく、じんましんにも悩まされました。
リラックスして出産に臨めたBさんの体験談
35歳で第1子を出産しました。
実家が遠く、里帰りをするつもりもなかったので、産後の回復が早いと友人に聞いていた無痛分娩を選択しました。
出産した病院は、途中まで陣痛を経験して、ある程度、子宮口が開いたら麻酔を入れることになっていました。
陣痛中はものすごくつらかったのですが、麻酔をしたあとは、笑顔で話をしながら、本当にリラックスして出産に臨めました。
ただ、出産後に39度を超える熱が出たり、嘔吐したりと麻酔の副作用もあったので、やってみたかったカンガルーケアができなかったので、やはりリスクはありましたね。
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経済的にメリットが大きいというCさんの体験談
39歳で第1子を出産しました。
年齢のことがあったので、妊娠が分かった時、NIPT(出生前診断)を受けることにしました。検査の前は夫には「子育てはどうしても母親に負担がかかってしまう。僕の仕事も忙しい中で、しっかり支えきれるか分からない」と反対され悩みました。でもこの年齢で出産して良かったと思う事もたくさんあります。
周囲には出産、育児を経験している人がたくさんいるので、相談相手には困りません。
キャリア面でも、責任ある仕事もたくさん任されてきたし、一段落ついたというか、やりきった感があります。
なんといっても、20代の時と比べると経済的に余裕があるので、子どもの教育や習い事などやりたいことに、しっかりお金をかけてあげることができます。
20代の時の自分や夫では、こうはいかなかったと思います。
育児に向き合う心の準備ができたDさんの体験談
38歳で第1子を出産しました。
結婚前も、夫と結婚した後も、夫婦でいろんな場所に旅行に行ったり、おいしい物を食べたり、欲しいものを買ったり・・・さんざんやりたいことをやってきたので、育児に向きあえる心の準備ができていたのかなと思います。
子どもが生まれてから自分一人の時間がとれなくても、行動が制限されたりしても、それにあまりストレスを感じないで、楽しみながらというか、試行錯誤しながらの毎日を楽しみていると思います。
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座談会を終えて
今、女性が活躍する時代を言われますが、そうならざるを得ない時代ともいえます。
男女差がほとんどなくなった進学率の先で、男女が変わらず働き、評価される時代。
結婚や出産を先送りにするカップルも増えていますが、高齢になればなるほど、身体の不調は起こりやすくなります。
30代半ばからの妊娠・出産・子育てにはリスクだけではなく、メリットもあります。
個人差がありますが、しっかりとした準備をしておくことで、高齢出産のリスクを下げて母子ともに安心して前向き出産にのぞむことができます。
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